About

カメオの彫刻家リチャード・ハーン氏

宝石に凸型に浮き彫りされたものをカメオ(Cameo)とよびます。逆に凹型に沈み彫りされたものはインタリオ(Intaglio)とよばれます。
ラテン語のcammaeusが語源で、英語ではcameo、ドイツ語ではkamee、イタリア語ではcammeo、フランス語ではcamé eとよばれます。

カメオの種類は、縞メノウに彫刻されたストーンカメオ(メノウカメオ)の他にも、トルマリン、オパール、トルコ石などに彫刻されたストーンカメオやシェルカメオ、珊瑚カメオなどがあります。

中でもメノウは、天然宝石で唯一白い層をもつ石で、その色のコントラストを利用して、カメオ彫刻がなされるようになりました。

History

アレキサンダー大帝 大英博物館

宝石彫刻の歴史は、人類文明発祥の地メソポタミアに起源を発するといわれ、今から約6000年もの昔、紀元前4000年頃のエラムやシュメール文明の時代に、すでに高度な宝石彫刻がなされていたといわれます。

円筒型の外周に彫刻されたシリンダーや、円錐型の平面に彫刻されたシールとよばれる印章石が有名です。これらが後のカメオ彫刻に発展していきました。

カメオの起源は、紀元前4世紀アレキサンダー大帝の時代からヘレニズム文明の時代にかけて見られるようになった浮き彫り彫刻品だと言われています。

アンティークカメオとして市場に出ているカメオの多くはは、主に18~19世紀頃フランスで作られたカメオです。また、50~100年前に採掘された石にアンティーク調に彫られているカメオもあります

Agate

メノウ原石

カメオ用に使える良質な原石が産出されるのは、ブラジルの南端、リオグランデ・ド・スル州のメノウ鉱山です。

メノウ原石のうちの約一割に、縞模様がありさらにそのうちの一割ほどにまっすぐな縞目を持つ石があり、それがカメオに使われます。メノウの特性は、モース硬度7、潜晶質、縞模様があり着色が可能です。

メノウ原石に、それぞれの薬品を透みこませ数百度という高温で焼きつけることで石そのものの色となります。染色でなく着色といわれるのはこのためです。この着色技法は古くから伝承され、現在でも着色によって様々な色味を表現しています。

現在では、黒白、赤白、緑白、褐白、青白、黄白などの色層のカメオがあり、彫刻されているデザインとあいまって、それぞれの美しさを感じていただけます。

Motif

モチーフ 女性の横顔

カメオにはモチーフとして女性の横顔がよく使われます。
写真技術のなかった時代に宝石彫刻に肖像画を残すことは、権力の象徴でした。
それがいつしか女性の美と若さへのあこがれとなり、貴婦人達の間でさかんにカメオ彫刻の宝飾品が愛用されるようになり、現在に至っています。
横顔がモチーフとしてよく使われているのは、二層のコントラストを利用して彫るために横顔の輪郭が大変美しく表現されるためです。

また女性の横顔以外にもギリシャ、ローマ神話に題材を得たモチーフや動物、植物、風景画、名画、抽象画、肖像画、仏像などが彫られています。

Products

カメオの製品

最も代表的なものはブローチで、その他にペンダント、イヤリング、指輪、帯留、ループタイ、カフス、タイチェ-ンなどがあります。また、大型の作品もあり、額に入れて璧かけや机の上を飾る置物として使われます。

一般的に、ストーンカメオは「手彫り」、「機械彫り」という分別がよくなされます。「機械彫り」と聞くと、コンピュータでデザインし、レーザー彫刻機で安価に大量生産できるイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、実際にはそうではありません。

機械彫りとは

1970年代後半に開発されたコンピュータ彫刻機によって、機械によりストーンカメオの彫刻が可能となりました。彫刻家がすべての工程を手で仕上げる場合と比較して、確かにその製作過程は短縮され量産が可能となりました。

しかし、金やプラチナアクセサリーのCADによる製作とは異なり、コンピュータ上のデザインソフトでイラストを描けば、それに基づきメノウの石に彫刻がなされるわけではないのです。一般に「機械彫り」と言われるカメオを作るためには、彫刻家がその原型となるストーンカメオ(通常、「手彫り」と言われるカメオ)を彫刻しなければなりません。手彫りカメオを原型として初めて機械による彫刻が可能となります。そのうえで、彫刻家との契約のもと一定数量が機械により彫刻されます。

機械で彫刻する場合でも、1枚のカメオを製作するために、そのデザイン専用に開発した銅板を7~8枚使用します。銅板にメノウ素材をセットし研磨剤入りの水を流し込みながら超音波により彫刻していきますが、メノウは非常に硬いため工程に応じてこの銅板を差し替えていく作業が必要となります。これは非常に細かく手間のかかる作業です。彫刻が繊細で美しいカメオを仕上げるためには、この手間のかかる作業が非常に重要となります。最終的には、職人による手仕上げを経て「機械彫り」と呼ばれるカメオが完成します。

まとめると...

  1. コンピュータによるデザインはできず、必ず彫刻家による手彫りカメオが必要となる
  2. 彫刻家との契約のもとで一定数量生産される
  3. 機械により1枚のカメオを完成させるためには、7~8枚の専用銅板を用い手仕上げが必要となる

手彫り、機械彫りの特徴と長所を正しくご理解いただき、ストーンカメオの魅力を感じていただければ幸いです。

手彫りカメオ(オリジナルモデル)

原石選びから最終仕上げまで、すべての工程を彫刻家の手により作られたカメオ。世界でただ一つのデザインの作品。

機械彫りカメオ(量産モデル)

すべての工程を彫刻家の手により作られたカメオをもとに、一部の工程を除いて機械により、ある一定の数量作られたカメオ。彫刻家によるデザインの美しさと彫刻の技術力、厳密な数量コントロールによってその価値が裏付けされます。彫刻家の名前がはっきりとしない非常に安価なストーンカメオが市場に流通していることも説明がつきます。

Contents

宝石彫刻の街イーダー・オーバーシュタイン

Idar-Oberstein

宝石彫刻の街
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