天然素材の持ち味をモチーフの中に最大限にいかす表現力をそなえ、並はずれた独創性が彼の作風を不動のものとしています。聖書をモチーフにした大作シリーズを中心に、30cm以上もある大型で奥行きのある器状の作品を数多く製作してきました。
リチャード・ハーン氏の後継者の中で、最も忠実に昔からのスタイルを受け継いでいるのがハンス・ディーター・ロートです。天然の素材の持ち味を活かした表現力と創造性には定評があり、13年の年月をかけて1998年に完成させた大作「The Bible in Stone(石の聖書)」48点は、圧倒的な迫力があります。また、2008年には「Shakespeare in Stone(シェイクスピア戯曲)」28場面を5年かけて彫刻しました。100年程前にカメオ用にカットされた希少なメノウの原石を素材にし、ギリシャ・ローマ神話のモチーフを再現したアンティーク調カメオなど、特徴的な作品を数多く製作しています。
現在は、工房の当主を息子のアンドレアス・ロートに譲り、指導的な立場からカメオ製作に携わっています。
1948年 | イーダー・オーバーシュタイン市に生まれる |
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1963年 | 職業技術専門学校宝石彫刻部門で学ぶ傍ら、著名なカメオ彫刻家であり、「現代カメオの父」と呼ばれるリチャード・H・ハーンの工房にて宝石彫刻の実習生として勤める |
1970年 | 専門学校に入り特待生としてさらに高度な技術と学問を学ぶ |
1973年 | 3年半の研修期間を終了し、マイスターを取得 |
1977年 | ゴブレンツの手工芸会議所よりマイスター試験の試験官に任命される |
1978年 | リチャード・H・ハーン工房を退職、自らのロート工房を設立 |
1984年 | ドイツ宝石博物館に、ミレー彫刻作品を出展 |
1998年 | 聖書モチーフ48大作を完成させる |
1999年 | カメオ作品集「石に彫った聖書」出版 |
2006年 | ドイツ州政府が認める「クンストラー(芸術家)」としてカメオ彫刻を開始 |